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2026-08-10
こんにちは!豊中市の歯医者、豊中少路ANT歯科・矯正歯科理事長の寺嶋悟です。
今回は「舌の癖が歯並びに与える影響とは」というテーマについてお話しします。
お子さまの歯並びが気になったとき、歯の大きさや顎の広さに目が向きやすいと思います。しかし、歯並びは歯と顎だけで決まるものではありません。普段はほとんど意識することのない「舌の位置」や「舌の動かし方」も、歯並びや噛み合わせに深く関係しています。
舌には、食べ物を味わう、噛んだものを飲み込む、言葉を発音するなど、さまざまな役割があります。それだけでなく、舌が上顎の内側に触れることで、顎の成長や歯列の形を内側から支える役割も担っています。
何も食べたり話したりしていないとき、舌の先は上の前歯のすぐ後ろにある「スポット」と呼ばれる位置にあり、舌全体が上顎に軽く触れている状態が理想的です。唇は自然に閉じ、上下の歯は強く噛みしめず、わずかに離れています。
ところが、舌がいつも下の歯の内側に落ちている、前歯の間に出ている、飲み込むたびに歯を押しているといった状態が続くと、歯や顎に偏った力が加わります。このような舌の位置や動きの問題を、一般的に「舌癖」と呼びます。
舌は柔らかい組織ですが、毎日何度も同じ場所を押し続けることで、歯の位置に影響することがあります。歯を動かすのは、一度だけ加わる強い力よりも、弱くても長時間繰り返される力です。そのため、無意識に続いている舌の癖は、成長期のお子さまの歯並びを考えるうえで見逃せないポイントです。
舌の癖によって起こりやすい歯並びの一つが、上下の前歯が噛み合わない「開咬」です。飲み込むときや安静時に舌が前歯の間へ出ていると、その部分に歯が生えてくるための空間が確保できず、奥歯を噛んでも前歯の間に隙間が残ることがあります。
開咬になると、前歯で麺類や野菜などを噛み切りにくくなる場合があります。また、前歯の隙間へ舌を出して飲み込む動きがさらに定着し、噛み合わせの問題と舌の癖が互いに影響し合うこともあります。
舌で上の前歯を押す癖がある場合は、前歯が前方へ傾き、出っ歯のような歯並びにつながることがあります。反対に、舌が下の前歯ばかりを押している場合には、下の前歯の位置や噛み合わせに影響する可能性があります。
また、舌が低い位置にある「低位舌」も注意が必要です。本来、舌が上顎に触れることで、上顎の横方向への成長が内側から支えられます。しかし、舌が下がった状態が続くと、上顎に必要な刺激が加わりにくくなり、歯列が狭くなることがあります。
上顎の歯列が狭くなると、永久歯が並ぶスペースが不足し、前歯が重なったり、八重歯になったりする可能性があります。さらに、上下の歯列の幅が合わなくなることで、奥歯の噛み合わせが左右どちらかで反対になる「交叉咬合」につながる場合もあります。
舌の癖は、発音にも関係します。とくにサ行やタ行などを発音するとき、舌が前歯の間から出ると、空気が漏れて発音が不明瞭になることがあります。ただし、発音の発達には個人差があるため、幼い時期の発音だけで舌癖を判断することはできません。歯並びや飲み込み方なども含めて確認することが大切です。
では、なぜ舌の位置が悪くなるのでしょうか。
原因の一つとして考えられるのが、口呼吸です。鼻づまりなどによって鼻で呼吸しにくいと、空気の通り道を確保するために口が開き、舌が下がりやすくなります。口を開けている時間が長くなると、舌を上顎に保つ習慣が育ちにくくなります。
指しゃぶりが長く続いた場合も、前歯が噛み合わなくなり、その隙間へ舌を出す癖が残ることがあります。指しゃぶりをやめても舌の動きが変わらなければ、開咬が自然に改善しにくくなる場合があります。
そのほかにも、柔らかい食べ物が多く舌を十分に使わない、姿勢が崩れて頭が前に出ている、唇を閉じる力が弱い、舌の裏側にある筋の状態によって舌を上げにくいなど、複数の原因が関係することがあります。
ご家庭で確認しやすいサインとしては、何もしていないときに口が開いている、舌が前歯の間から見える、食べ物を飲み込むときに唇や顎へ強く力が入る、水を飲むときに舌が前へ出る、食べこぼしが多い、発音が気になるといったものがあります。
また、口を閉じようとすると顎先に梅干しのようなしわができる場合は、唇を閉じるために必要以上の力を使っている可能性があります。出っ歯や口呼吸など、舌以外の問題が関係していることもあるため、歯並びとお口の機能を一緒に確認する必要があります。
舌の癖は、保護者の方が「舌を出さないで」「上に置いて」と注意するだけでは改善しにくいものです。多くの場合、お子さま自身は無意識に行っており、正しい舌の位置や飲み込み方を理解していません。頻繁に注意されることで、食事や会話に苦手意識を持つこともあるため、叱って直そうとするのは避けましょう。
改善のためには、舌を正しい位置に置く練習、唇を閉じる練習、正しく飲み込む練習などを段階的に行います。このようなお口まわりの筋肉や機能を整える方法を、口腔筋機能療法、いわゆるMFTと呼びます。
ただし、舌のトレーニングは、単に舌を何度か動かせばよいというものではありません。口呼吸の原因となる鼻の問題がある場合や、顎が狭く舌を置く場所が不足している場合には、トレーニングだけでは改善が難しいこともあります。必要に応じて、矯正治療や耳鼻咽喉科での確認などを組み合わせることが大切です。
また、歯並びを矯正装置で整えても、歯を押す舌の癖が残っていると、治療後に歯が元の位置へ戻ろうとする原因になることがあります。そのため、舌癖がある場合には、歯を動かすことと同時に、お口の使い方を整える視点が欠かせません。
豊中少路ANT歯科・矯正歯科では、歯並びの見た目だけでなく、舌の位置、飲み込み方、唇の力、口呼吸、姿勢、食べ方なども含めて、お子さまのお口の成長を確認しています。
舌の癖は、毎日の小さな動きの積み重ねです。すぐに大きな変化が現れるわけではありませんが、長期間続くことで、開咬や出っ歯、歯列の狭さ、歯の重なりなどにつながる可能性があります。
「いつも口が開いている」「舌が前に出ている」「前歯が噛み合っていない」「飲み込み方が気になる」などの様子があれば、一度ご相談ください。早い段階で原因を確認し、成長に合わせて正しいお口の使い方を身につけることが、将来の歯並びと安定した噛み合わせを守ることにつながります。
少路駅すぐの歯科医院、豊中少路ANT歯科・矯正歯科は、豊中少路にある地域密着型の歯科医院です。