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2026-08-21

著者:院長名(リンクなし)

【院長ブログ】よく噛む習慣が歯並びを育てる理由

こんにちは!豊中市の歯医者、豊中少路ANT歯科・矯正歯科理事長の寺嶋悟です

今回は「よく噛む習慣が歯並びを育てる理由」についてお話しします。

お子さまの歯並びを心配する保護者の方から、「硬いものを食べさせれば顎が大きくなりますか?」と質問されることがあります。

噛むことは、お口の成長にとって大切です。ただし、硬い食べ物を無理に与えれば歯並びが整う、という単純な話ではありません。大切なのは、年齢に合った食材を、奥歯で左右バランスよく、時間をかけて噛む経験を積むことです。

歯並びは「歯」だけで決まらない

歯並びというと、歯の大きさや顎の幅だけが注目されがちです。しかし、子どもの歯列や噛み合わせは、舌、唇、頬、噛む筋肉など、周囲の組織から受ける力の影響を受けながら成長します。

歯は、舌が内側から支える力と、唇や頬が外側から押す力とのバランスが取れた場所に並ぼうとします。食べ物を噛むときには、舌で食べ物を奥歯へ運び、頬でこぼれないように支え、上下の顎を動かして細かくしていきます。

つまり、よく噛む食事は、お口全体を協調して動かす練習でもあるのです。

噛む刺激が顎や筋肉の成長を支える

噛むたびに、歯を通して顎の骨へ力が伝わり、頬やこめかみの咀嚼筋も働きます。成長期にさまざまな食感の食品を噛む経験を重ねることは、咬合力や咀嚼能力を発達させるうえで重要です。

幼児を対象とした研究では、年齢とともに咬合力や咀嚼能力が高くなる傾向が示されています。また、学齢期には永久歯の本数や、上下の歯が接触する面積などと咀嚼能力との関連が報告されています。小児の咬合力・咀嚼能力に関する研究学齢期の咀嚼能力と咬合発達に関する研究

ここで覚えていただきたいのは、噛む機能と歯並びは一方向の関係ではないということです。よく噛む経験がお口の発達を支える一方、安定した噛み合わせがあるからこそ効率よく噛める、という面もあります。

よく噛むと舌の動きも育つ

食べ物を口に入れてから飲み込むまで、舌は複雑に動いています。

食べ物の硬さや大きさを感じ取り、左右の奥歯へ送り、唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にまとめます。この動きを繰り返すことで、舌を適切な位置で使う経験が増えていきます。

反対に、あまり噛まなくても飲み込める柔らかい食品ばかりでは、舌や頬を動かす機会が少なくなります。食べ物を前歯だけで噛む、ほとんど噛まずに丸のみする、飲み込むときに舌が前へ出る、といった食べ方が定着すると、歯列に加わる力のバランスが乱れる場合があります。

ただし、舌の癖や口呼吸がある場合は、「よく噛みなさい」と声をかけるだけでは改善しないこともあります。鼻づまり、扁桃の状態、噛み合わせ、舌小帯などが関係していないか、原因を確認することが必要です。

「硬いもの」より「噛む必要のある食事」

よく噛む習慣をつけるために、極端に硬いせんべいや乾物を与える必要はありません。乳歯や生えたばかりの永久歯に強すぎる負担をかけると、歯を傷める可能性があります。

おすすめしたいのは、硬さだけでなく、弾力、繊維、厚み、大きさを工夫することです。

例えば、根菜や葉物野菜は少し大きめに切る、肉はひき肉だけでなく薄切り肉も取り入れる、やわらかく煮たきのこや海藻を加えるなど、いつもの献立でも噛む回数を増やせます。

おにぎり、卵焼き、豆腐のような柔らかい料理にも、刻んだ野菜やごま、きのこなどを加えると食感に変化が生まれます。食卓に複数の食感があると、子どもは自然に噛み方を調整します。

一口の量が多すぎると十分に噛めず、反対に細かく切りすぎると前歯や奥歯を使う機会が減ります。お子さまの発達や歯の生え方に合わせ、「安全に噛める大きさ」を選びましょう。

家庭で始められる習慣づくり

まずは、食事を急がせない環境を整えることが大切です。テレビや動画を見ながら食べると、口の中への注意が薄れ、噛む回数や食べる速度を自分で調整しにくくなります。

「30回噛みなさい」と毎回数えさせるより、「どんな音がする?」「右と左の奥歯で噛めているかな?」と、お口の感覚へ意識を向ける声かけがおすすめです。小学生を対象とした研究では、噛む回数を意識する取り組みによって、十分に噛もうとする行動の変化が確認されています。「噛ミング30」に基づく介入研究

また、家族が一緒にゆっくり食べることも効果的です。子どもは説明だけでなく、大人の食べ方を見ながら食事のリズムを覚えていきます。

よく噛めない背景にも目を向けましょう

食べるのが極端に早い、いつまでも口に食べ物が残る、片側だけで噛む、硬いものを強く嫌がる、食べこぼしが多い場合は、単なる好き嫌いではないかもしれません。

虫歯や歯の痛み、生え替わりによる噛みにくさ、歯並び、鼻づまり、舌や唇の力などが関係していることがあります。子ども自身が「噛みにくい」とうまく説明できない場合もあるため、食事中の様子を観察することが重要です。

よく噛む習慣だけで、すべての不正咬合を予防できるわけではありません。歯並びには、遺伝、歯と顎の大きさ、呼吸、姿勢、口腔習癖など、さまざまな要素が関係します。

それでも、噛むことは毎日できるお口のトレーニングです。食材をただ硬くするのではなく、舌、頬、唇、顎をバランスよく使える食べ方を育てていきましょう。

お子さまの噛み方や歯並びが気になる場合は、歯がすべて生え替わるまで待たず、一度ご相談ください。今のお口の状態と成長段階に合わせて、家庭でできる工夫や適切な受診時期をご案内いたします。

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